とない群に分けて行った。その結果、VTおよびWmax時の酸素摂取量には、日常の運動習慣の差が最も顕著に現れることが示された。 また、Vo2@VTおよびVo2@Wmaxについて、20歳代から60歳代まで、10年代毎に平均値と標準偏差を示し、その信頼性が考察された。 筋力/筋持久力 昨年は日常生活に見られる単純な立ち上がり動作が,健康に関連した体力としての脚力を評価する指標になる可能性を示唆した山田班の今年度は、中高年女性を対象に、骨密度を中心に、等尺性脚筋力、連続立ち上がり運動等の関連を検討した。 その結果、加齢にともない骨吸収が増加すること、骨の大きさの変化と密度の変化は異なること、などを明らかにした。しかし、下肢の骨塩量および骨密度と、1,3および5回連続立ち上がりに要した時間との間には有意な関係が見られず、下肢筋群のパフォーマンスから骨密度を推定することの困難性が指摘された。 一方、昨年の研究で身体の活動能力の加齢にともなう変化が歩行能力によって簡便にとらえられること、および下肢の筋力が歩行能力と高い相関関係にあることを示した岩岡班は、今年度は運動習慣のない中高年女性を対象に、最高心拍数の60〜80%程度の強度で、約60分間の運動プログラム(ストレッチング、ラジオ体操、ダンベル体操、バドミントンなど)を週1回の頻度で、10週間行わせた。 その結果、トレーニングの進行にともなって日常生活における身体活動水準(1日当たりの平均歩数)が高まり、歩行能力および脚筋力に有意な改善が観察された。そして、これらの結果から、運動習慣のない中高年者を対象とした比較的低い強度の運動の効果が、歩行能力と脚筋力に関する変数から的確に評価されることを示した。 柔軟性 柔軟性をターゲットに研究を進めている内藤班は、昨年男女の中高年者を対象とした測定で、立位体前屈と長座体前屈との間には高い相関があり、後者の値は前者より2cm低いことを示した。 体前屈のテスト方法としては、長座の方が立位よりも安全であることが指摘されているので、今年度は158名の中高年者を対象に、長座体前屈を測定し、腰痛歴の有無という観点から、それらのデータを検討した。 その結果、腰痛歴のない群の長座体前屈の平均値は、腰痛歴のある群より4.0,cm有意に高く、長座体前屈が腰痛予測の指標となり得る可能性が示唆された。
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